宗教法人の代表役員と氏名
宗教法人の役員の任期については法律上の規定がないため、神社や寺院の宗教法人からは宮司や住職が変わるタイミングでしか役員変更登記の依頼を受けることは通常ないように思います。
また、代表役員の選任方法も各宗教法人の規則で定められていることが多く、まずは依頼者が持参する規則他の資料を確認させていただいてから、登記必要書類を詰めていくという作業となり、株式会社の登記のように手慣れた対応ができないことが多いです。
さて、先日受任したお寺の住職変更に伴う代表役員変更登記なのですが、宗教法人規則に「代表役員は、包括宗教法人(いわゆる本山)が住職を任命し、住職が代表役員となる」と記載されていたため、住職の任命書と資格証明書・規則の原本証明・代表役員の就任承諾書・印鑑証明書・従前の住職の辞任届・委任状等を収集し、登記申請しようとしたところ、任命書と資格証明書の住職の氏名が印鑑証明書上の氏名と異なることが判明しました。
依頼者に確認したところ、任命書と資格証明書は、宗教上の名前で本山に申請したとのことでしたが、登記上は住民票上の氏名でしか表示できないため、対応を法務局と相談しました。
結果、任命書や資格証明書は法令で定められた書類ではないこともあり、住民票上の氏名を併記することで受理してもらうことができました。
※任命書については、原本証明の提出で良いので、写しにのみ氏名を併記しました。
今回のようなイレギュラーな事例は我々専門家でも手探りで進めていくしかありません。