法定相続人への遺贈

遺言で、法定相続人へ相続財産を承継させる場合は「相続させる」と表現し、法定相続人以外の者に承継させる場合は「遺贈する」と表現するのが一般的ですが、法定相続人に対して「遺贈する」として遺言を作成してしまうことも間々あるようです。

 

不動産を法定相続人に対し遺贈するとした遺言の場合、登記手続上も原則として「遺贈」という登記原因を用いることになります。

 

「相続」を原因とする所有権移転の登録免許税率は1000分の4、「遺贈」を原因とする所有権移転の登録免許税率は1000分の20とされており、以前は、法定相続人へ相続させるところ、遺贈と表現したために、遺産承継者の負担が増加してしまう事態も起こりましたが、現在は法定相続人への遺贈は相続と同じ1000分の4の登録免許税率で済む取り扱いに変わりました。

 

ちなみに不動産を「法定相続人以外へ特定遺贈」する場合には、不動産取得税が課税されるものの、「相続」・「包括遺贈」・「法定相続人への遺贈」は非課税となるようですので、遺言の表現によって課税負担が左右される心配もないのかもしれません。

 

ただし、文言の解釈が必要な遺言は好ましくないため、遺言の作成は専門家にご相談いただくことをお勧めします。